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「共依存」とは?

共依存状態となっているカップル

意味

共依存の意味は、片方が相手に対して「この人には私がいないとダメなんだ」と思い込み、過度にお世話をする心理状態をいいます。
共依存の文字をそのまま解釈すると「共に依存し合っている関係」という意味に受け取ってしまいがちですが少し違います。

共依存の人は自分のことよりも、一生懸命相手のお世話をすることによって「自分はここにいてもいいんだ」と感じていたいので、お世話をする相手が必要となるのです。
つまり、人のお世話をすることに依存している状態と言えます。

由来

昔から、アルコールなどの依存症は治療すべき対象として、問題とみられています。
そして、アルコール依存症の患者を診ていたあるアメリカの医師が、一向に患者が良くならないことに疑問を抱き、あることに気づいたのです。

実は、依存症患者に献身的に毎回付き添いで来ている、家族(妻や母親)に原因がありました。
つまり、お世話をして患者の問題をサポートしていることが、結果的に患者のアルコール依存を長引かせていたのです。

そして、医師が彼らを「共依存症」と呼ぶようになったことで「共依存」という言葉が生まれました。

「共依存」と「依存」の違い

共依存しているカップル

共依存

少しややこしいのですが、対象とする人や物に対して依存するという問題を抱えている人に、依存している状態を「共依存」といいます。
共依存の人は、誰かの「役に立ちたい」「必要とされたい」という思いが強くあるため、相手の問題を自分の問題と捉える傾向にあります。

たとえばよくある話では、恋人やパートナーに暴力を振るわれても「お酒さえ飲まなければ、普段は優しくていい人なんです」と言って別れない女性のケースです。
殴られるなどの暴力を振るわれても「この人には私が必要」「私以外に彼を支えられる人はいない」「きっと私が変えてみせる」と考えます。

つまり「私はこの人の役に立っている」と思い込み、相手の面倒を見続けて「相手に必要とされる関係」に依存するのです。

依存

依存は、人や物に対して執着する状態をいいます。
一般的には「お酒」「タバコ」「薬物」「ギャンブル」「ゲーム」「ネット」など、聞いたことがあるのではないでしょうか。

その他にも「恋愛」「買い物」「スマホ」「SEX」などに依存する人もいます。
依存の場合は、依存している対象を使って自分の気持ちを満たしています。

その一時だけは、何となく心が満たされたような感じがするため、その気持ちをまた味わいたくて依存し続けている状態なのです。

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共依存になる原因

共依存の原因となる親の虐待

では、共依存になる原因にはどういったものがあるのでしょうか?
以下は、共依存になる原因について5つご紹介します。

  1. 欠乏感が強く自信がない
  2. 強い不安感が常にある
  3. 執着心が強くある
  4. 承認欲求が強い
  5. 人の役に立ちたい思いが強い

原因①:欠乏感が強く自信がない

共依存になる人は、欠乏感が強く自信がない傾向にあります。
幼少期に、親に放って置かれて甘えられなかったり(育児放棄)、暴力を受けたり存在を否定されるような暴言を吐かれるなどの「虐待」を受けた人に多くみられます。

つまり共依存の人は、機能不全家族に生まれ育った人が多いのです。
そのため、自分は「愛される存在」であるという自信がなく、相手のお世話をして尽くすことで愛されようとしたり、見捨てられることが不安で相手を束縛してしまうのです。

そして、相手から愛されていることを確認することで、自分の中にある欠乏感を埋めようとします。

原因②:強い不安感が常にある

共依存になる原因のひとつとして「強い不安感をいつも感じている」というものがあります。
共依存の人は、まだ起きてもいないネガティブな結果を考え、いつも不安にかられている人が多くいます。

これも多くは、幼少期に親から「こうなったのはあなたのせいよ!」というようなことを言われ、自分のせいにされてきた経験があるためです。
そのため、常に相手の顔色をうかがって行動したり、自分の行動が正しいのか間違っているのか不安を感じる傾向にあります。

原因③:執着心が強くある

共依存の人は、人への執着心が強い傾向にあります。
相手に対して「この人は自分がいないとダメな人」と思い込み、相手の気持ちを無視してお世話をし続けます。

共依存は幼少期に親から、素のままの自分を認めてもらえた経験がなく、なにかが出来る自分じゃなければ価値がないと思い込んでる人に多くみられます。
つまり人に尽くしている自分、誰かの役に立っている自分を装うことで、自分の存在価値を見出しているため、相手への執着が強くなるのです。

原因④:承認欲求が強い

人は誰しも「自分のことを認めてもらいたい」という承認欲求がありますが、共依存の人はこの思いが強い傾向にあります。
そのため「良い恋人」「良い妻(夫)」「良い母親(父親)」を演じ続けるのですが、本当は「愛されたい」という欲求からやっているため、心が満たされることはなくストレスが溜まっていきます。

多くは、目の前の相手から愛情を求めているのではなく、親の愛情を求めているため、いつまでも満たされることがないのです。

原因⑤:人の役に立ちたい思いが強い

共依存の人は、「人の役に立ちたい」という思いが強い傾向にあります。
そのため、本人は「この人は私がいないとダメだから」と思っているのですが、実は自分が相手を「ダメな人」にしているケースが数多くあるのです。

それは、ダメな人が存在していないと「役に立てない」と思っているため、お世話をすることで無意識に相手を「ダメな人」にさせているのでしょう。

共依存によって起こる問題

共依存に苦しむ女性

では、共依存によってどんな問題が起きるのでしょうか?
以下、共依存によって起こる問題を5つご紹介します。

  1. お互いに辛くなる
  2. お互いに成長できない
  3. 相手をコントロールする
  4. 相手をダメ人間にする
  5. 孤立していく

問題①:お互いに辛くなる

共依存の問題のひとつは「お互いに辛くなる」ということです。
依存してお世話をする側は、相手が離れていかないように無意識に自分へと依存させるため、相手に尽くしてコントロールしようとします。

依存される側は「この人から離れたら生きていけない」と思い込んでいるため、たとえ今の状態が辛くても離れられなくなります。
つまり、お互いに依存すればするほど辛くなっていくので、精神的な病気に陥ってしまう人も少なくないのです。

問題②:お互いに成長できない

共依存の人は、自己評価が低く自分に存在価値を感じていないため、人から頼られて人の役に立つことで自分の存在価値を見出そうとします。
そのため、もし相手が成長して自立をすると、自分を頼ってもらえなくなるのでとても困るのです。

つまり、相手にはいつまでも頼りなくて自分に依存していてもらう必要があるため、無意識に相手の成長のチャンスを悉く潰してしまいます。
その結果、お互いに足を引っ張り合うような関係となるので、いつまでも成長できないのです。

問題③:相手をコントロールする

共依存には、お互い無意識に相手を支配しコントロールするという特徴があります。

たとえば親子関係で言うと、子どもがもう大人になっている場合にも、親は子どもが自立して離れていかないように、過剰に過干渉しお世話することでコントロールします。
そして子どもの方は、親から離れることが不安なので成長するのをあきらめて、ダメな子どもを演じ続け、親に依存し続けるケースがあります。

夫婦関係では、暴力を振るうDV夫に対して従順に振舞うことで、自分がいなければ生きていけないと思うように、無意識に相手をコントロールしているのです。

問題④:相手をダメ人間にする

共依存の人は、とにかく「人に頼られず役に立てない自分」には価値がないと思い込んでいます。
そのため、自分が役に立っていると感じ続けるには、どうしても「ダメな人間」が必要となるのです。

親子関係で子どもに対しては、子どもが自分で出来ることまで先回りして手出しをして、お世話をし続けることで自分がいないと何もできないように育てます。
また夫婦においては、アルコールやギャンブルに依存している夫に対し、お酒を買ってきたりお金を渡して相手をどんどん堕落させていくのです。

問題⑤:孤立していく

共依存の人は、どんな時でも自分のことより相手のことを優先してしまいます。
そのため、仕事や私生活にも影響が出たり、職場の人間関係や友人関係などにひびが入ることもあるのです。

たとえ周囲の人が「なにかおかしい」と感じて忠告をしてくれたりアドバイスをくれても、自分がしていることが間違っているとは思っていないため聞く耳を持ちません。
そして気づけば周りから孤立してしまい、ますます共依存にハマっていってしまうのです。

あなたは大丈夫?共依存かどうかチェックしてみよう!

共依存状態に悩むカップル

診断①:困っている人がいると自分を犠牲にしても相手を助ける

共依存の人は困っている人がいたら、自分が犠牲になったとしても相手を助ける傾向にあります。
それは、自分の存在価値が低いと思い込んでいるため、相手の役に立ったり愛されることで「認めてもらいたい」という思いが強くあるからなのです。

もし、あなたが「私さえ我慢していれば…」と自分の気持ちは無視して、相手に合わせたり言うことを聞いているなら、共依存である可能性は高いと言えるでしょう。

診断②:愛されない自分には価値がないと感じる

共依存の人は、相手の役に立っていない自分には価値がなく、生きている意味さえ感じなくなります。
そのため、頼られていない自分でいることは不安なので、相手が自分に依存するように無意識に仕向けていくのです。

あなたは恋人やパートナーに対して「この人には自分がいなければダメだ」と思っていたり、愛されたい思いから尽くしすぎていませんか?
もし心当たりがある場合は、共依存状態となっている可能性が高いでしょう。

診断③:相手の問題に感情移入しすぎてしまう

共依存の人は、相手の問題に感情移入しすぎてしまう傾向にあります。
よく見られるのは親子関係で、母親が子どもの問題を自分のことのように、悲しんだり怒ったりするケースです。

多少の感情移入なら誰しもあるのでしょうが、共依存の場合はそれが行き過ぎているのが特徴です。
たとえば、娘に恋人ができたときや失恋したときなどに、自分のことのように喜んだり悲しんで落ち込んでしまいます。

あなたは友達やパートナー、または家族に対して必要以上に感情移入してしまうことはありませんか?
もし当てはまる場合は、共依存である可能性が高いでしょう。

共依存から抜け出す方法

共依存から抜け出すために自分と向き合う女性

では、共依存から抜け出すにはどんな方法があるのでしょうか?
以下に、共依存から抜け出す方法を8つご紹介します。

  1. 自分の現状を理解して共依存だと認める
  2. 共依存となった原因を知る
  3. 共依存関係から抜け出すことを決意する
  4. 行動をする前に考えるクセをつける
  5. 自分のことを満たす方法を知って練習する
  6. 変えられない過去への執着を手放す
  7. 新たな価値観を知って書き換える
  8. 自分の感情を出して気持ちを受け止める

方法①:自分の現状を理解して共依存だと認める

共依存から抜け出すためには、まず最初に自分の現状を理解して「自分は共依存なんだ」と認める必要があります。
共依存の人は、自分が共依存関係になっているという現状をなかなか認められず、自分自身の言動を受け止められずに更に関係を悪化させていく傾向にあるのです。

自分が「共依存になっている」ということを認められたら、現実を見据えて自分の心と向き合うことができます。
無意識に行っている自分の行動を変えていくためには、まずはしっかりと自分の現状を認識することが、必要不可欠なのです。

方法②:共依存となった原因を知る

共依存となる原因の多くは、幼少期の家庭環境にあり親の影響が強いということがわかっています。
そうは言っても、中には親のせいにすることがイヤで、認めたくない人もいるのが現状です。

しかし、ここで根本の原因を否定していても何も前に進みません。
共依存を克服するためには、子どもの頃に親との関係はどうだったのか、寂しかった感情が置き去りになっていないかどうか、よく思い出してみる必要があります。

自分の心を見つめていくと、過去に満たされなかった自分自身と必ず向き合うことになります。
もしかしたらそれは、とても辛いことかもしれませんが、そこを無視して抜け出すことは難しいと言えるでしょう。

方法③:共依存関係から抜け出すことを決意する

共依存から抜け出すためには、まずは本人が「この状態から絶対に抜け出そう」と決意する必要があります。
なぜかというと本人が決めない限り、周りがなにを言っても聞き入れませんし、自分がおかしいな行動をしていても気づけないからです。

多くの人は無意識のままに行動していて、共依存の人は本気で「相手のため」と思い行動しています。
そのため、これまで無意識にやっていた行動を変えるには、本人の強い意志が必要となるのです。

方法④:行動をする前に考えるクセをつける

自分が今まで無意識にやってきたことを変えるためには、行動をする前に「一度立ち止まって考えるクセ」を身につける必要があります。
自分が長年やってきた習慣を変えることは、簡単なことではありませんし時間も根気もいるものです。

今まで「相手のため」と思ってやってきたことに対して「これは本当にこの人のためなのだろうか?」と、行動する前に一度考えてみましょう。

方法⑤:自分のことを満たす方法を知って練習する

共依存の人は、自分への愛情を人に満たしてもらうことばかり考えています。
つまり、自分が幸せかどうかは相手次第となっているため、思い通りにならないとイライラしたり悲観してしまうのです。

自分と相手は別々の人間ですから、自分の思い通りにコントロールすることが不可能なのは当たり前ですが、共依存の人には判断ができません。
しかし、自分の心を満たす方法がわかれば、自分で自分を満たせるため、相手に執着して「満たしてもらおう」とする行動は自然に減っていきます。

方法⑥:変えられない過去への執着を手放す

人には過去の未完了の感情を、無意識に目の前にいる人で完了させようとする心理があります。
たとえば、幼少期に「親に甘えたかったけれど甘えられなかった」ということがあった場合、当時親から得られなかった愛情を目の前の恋人やパートナーから得ようとするのです。

しかし、恋人やパートナーは自分の親ではないので、当然満たされることはありません。
共依存を抜け出すためには、まず自分の子ども時代を振り返って未完了の感情に気づき、変えられない過去への執着を手放す必要があるのです。

方法⑦:新たな価値観を知って書き換える

自分の心と向き合っていると、自分が今どんな価値観を持っているのか認識できるようになります。
そして共依存から抜け出すには、今までの価値観を新しい価値観に書き換える必要があるのです。

たとえば共依存の人は、つらい時や悲しい時にも「私さえ我慢していれば…」「こんなことで泣いてはいけない」と、自分の気持ちを我慢して抑えこんでしまうクセがあります。
もし心当たりがある場合は、それはあなたが今持っている価値観となるので「私は我慢しなくてもいい」「悲しい時は泣いてもいい」と自分に言い聞かせて、価値観を書き換えていくと良いでしょう。

方法⑧:自分の感情を出して気持ちを受け止める

上記で書いてきたように、共依存となる原因には親との関係が深く関わっています。
そして共依存から抜け出すためには、子どもの頃に感じていた悲しみや怒りの感情を出して、自分の気持ちを受け止めることが一番大切になってくるのです。

ネガティブな感情というものは、時間が経って一旦落ち着いたように思えても、外に出さない限りずっと体内でくすぶり続けます。
まずは当時の気持ちを思い出して、紙にどんどん書き出してみましょう。

その後は、紙に書き出した子どもの頃の自分の気持ちを、大人のあなたが受け止めてあげれば、少しずつ未完了だった感情が消化されて、気持ちが軽くなっていくはずですよ。

共依存から抜け出して自分の人生を取り戻そう

共依存から抜け出した女性

共依存は、幼少期に抱えてしまった欠乏感から起きるということが、おわかりいただけたのではないでしょうか。
心の問題となるため根本的な解決は、やはりカウンセリングを受けることが一番早く、効果的な解決方法と言えます。

本記事でご紹介した方法で、あなたが共依存から抜け出し、自分の人生を取り戻して幸せになれることを心から願っています。

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ライター
noel編集部

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