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「慈しみ」の読み方や意味とは?

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聞き慣れない語句で、意味や読み方が分からないという方もいるでしょう。
「慈しみ」について説明します。

読み方

「慈しみ」は「いつくしみ」と読みます。
元々は「慈しむ」という動詞で、語句の末尾が変化して連用形になっています。

意味

「慈しみ」とは、心の内から自然と相手に対する深い愛情がこみ上げて、大切に思ったり、愛しいと感じたりすることです。
子供や弱い立場の人に使うことがあります。

目上の人から立場が下の人に感じる、守りたいという保護者のような親愛の情を指すこともあります。
王などの権力者が国民に対して使うこともありますし、神様や仏様の言葉として、信者や人間一般に対して用いられていることもあります。

「思いやり」との違い

「慈しみ」と「思いやり」は似ていると思う方もいるかもしれません。
「思いやり」の方は、他者に対して様子を見て気遣って行動することです。

最初に相手を意識して気遣う所から始まる「思いやり」は、愛情や見守る気持ちが自然とわき起こってくる「慈しみ」とは、意味合いが違います。

「慈しみ」を使う場面

親から慈しみ深い愛情を注がれている子供

どのような所で「慈しみ」を用いるか、予想される場面を挙げてみます。

場面①:自分の子や孫を大切に可愛がる

自然と愛しく思って大切にしようとわき上がってくる深い思いを表しています。
子供や孫を大切に思って可愛がる感情を、「慈しみ」としています。

人によっては、姪や甥などの兄弟の子供に対しても慈愛の心を感じられることでしょう。
誰に強制されるでもなく、愛情を感じて大事に思う気持ちを指しています。

場面②:偉大な存在から見守られる

立場が下の存在を優しく見守る意味もあります。
神や仏自らが自分の立場を上に上げているのではありません。

宗教家や信者にとっては、教えを説いた神様や仏様は上の立場に立ち、尊敬の対象になります。
宗教家が偉大な存在と考える神様や仏様の教えとして、信者や人間全般を見守って教え導く意味で、説話の中で「慈しみ」と使うこともあります。

場面③:夫婦が互いのことを思い合う

夫婦が互いのことを深く思うこととして使います。
夫婦は、一緒に家庭を作り上げて生活を共にしていきます。

夫婦は他人同士なので、恋愛よりも深い信頼やいたわり、愛情の気持ちを持ち続けないと上手くいきません。
お互いを思い合う優しい穏やかな深い感情を「慈しみ」という言葉で表しています。

場面④:弱い立場の人や国民を守る

「慈しみ」には弱い立場の人を守る意味があります。
王様などの為政者が、自分を支えてくれる国民や民衆に愛情を持って見守ることを表すのに「慈しみ」を使うこともあるでしょう。

国家などの広い意味でなくても、集団のリーダーが自分のグループに属している慕って付いてきてくれる人に対して、優しく接して守るという意味で使われることもあります。

場面⑤:深い愛情に満ちている性格や振る舞い

立場が上の人の振る舞いや性格が、深い愛情に満ちて優しいことを言い表すことがあります。
年を重ねた女性目上の穏やかな女性に使われることが多く、上品で尊敬の対象として見られていることもあるでしょう。

「慈しみ深い態度」・「慈しみに満ちた笑顔」などのように用いられます。

慈しみ深い心を持つ人の特徴

上の子に慈しみの心を持たれている赤ちゃん

慈しみ深い心の持ち主はどのような特質があるか、例を挙げます。

  1. 寛大な心の持ち主
  2. 分け隔てなく他人の良さを認める
  3. 弱い立場の人に優しい
  4. 人のために動く
  5. 穏やかで怒らない
  6. 欲張らずに独り占めしない
  7. 自分よりも周囲の人を優先する

その人となりを、項目ごとに詳しく紹介します。

特徴①:寛大な心の持ち主

慈しみの心を持つ人は、寛大な心の持ち主でもあります。
細かいことにこだわらず、人が失敗をしてもいったんは許して見守るような性格をしています。

ミスすると厳しく責めて、人前で怒りをぶつける人もいます。
慈しみの心を持つ人は、相手の成長を願っています。

注意をしなくてはいけない場合も、声高にストレスのはけ口のように怒ることはなく、一対一でプライドを傷つけないように配慮し、教え諭すでしょう。

特徴②:分け隔てなく他人の良さを認める

慈しみの気持ちを持つ人は、周囲の人の良さを認めて公平に付き合おうとします。
多くの人は、あまり好きではない人の行動を批判的に見る傾向があります。

さもないことでも好意を持っていない相手の短所が目に付き、余計に嫌悪感を抱くこともあるでしょう。
慈しみ深い人は、行き過ぎている短所を逆に見て、自然と長所の方を見ています。

「自己主張の強い人」であれば、「自分をアピールできる人」と感じ、「決断力がない人」なら、「慎重な人」と言うように良い方に見方を変えられます。
良い所を認められるため、慈愛の心が強くなり、優しい印象を与えるでしょう。

特徴③:弱い立場の人に優しい

慈しみの心を持つ人は、弱い立場に追いやられている人に優しく接します。
率先してボランティアをし、社会貢献をすることもあります。

普段でも道に迷っている人や、障害があって先に進めない人などの困った状態に陥っている人に声をかけ、上手くできるように手伝うこともあるでしょう。
弱者に対してとっさに行動できる強さも持ち合わせています。

特徴④:人のために動く

慈しみの気持ちを持つ人は、人が楽になるように動く所があります。
例えば、職場の掃除やゴミ捨て、来客のお茶の用意や片付けなど、面倒に思われる作業があります。

お給料の中に含まれない仕事を自主的にやるのは嫌とか、仕事を中断してまでやるのは気が進まないということで、やらないでおく人もいます。
嫌がる作業も率先して他の人のために動きます。

やらない人について愚痴をこぼすこともありません。
周囲の人は良く見ているので、文句も言わずに嫌がる仕事を率先してやる人のことを感心して見ていることがあります。

特徴⑤:穏やかで感情をぶつけない

慈しみの気持ちが強い人は、いつでも穏やかで感情をぶつける振る舞いをしません。
嫌な人に気分を害することをされたとしても、やり返して感情をぶつけ合うことはしないでしょう。

感情をあらわにするのをはしたないと考えることもあるでしょう。
嫌がらせや嫌みなどを言う人をかわいそうと、哀れみの目で見ていることもあります。

大人の対応ができる素敵な人と評価されることも多いです。

特徴⑥:欲張らずに一人占めしない

慈しみの気持ちを持つ人は、得をすると欲張ることはしません。
大勢の人に教えたり、他の人の利益になるように動いたりします。

普通の人は自分だけ得をしたいあまり、情報を独り占めして他の人に分け与えないこともあります。
自分一人だけのことしか考えない所があるでしょう。

皆に行き渡るように心がけ、幸せなことを分け与えられるので、多くの人に感謝されるでしょう。

特徴⑦:自分よりも周囲の人を優先する

子供への愛情を慈しみという場合、自分のことよりも子供を優先して大切にする所から、自分よりも他者のことを考える人が当てはまります。
大変なトラブルに見舞われた時に、自分が助かるだけでなく、周囲の人も助かる方法を考えて優先させようとします。

周囲の人が難しい状態になっている時も、関係ないと放っておくこともせず、一緒になって解決法を見いだすようにサポートする場合もあります。
慈しみの気持ちが強い人は、リーダーシップを兼ね添えている人とも言えます。

慈しみの心を持つ人になる方法

子供に慈しみの心を持つ母親

人に対して慈しみの心を持てるようになるにはどうすべきなのか考えてみます。

  1. 相手の良い所を見つける
  2. 悪意を持って接してくる相手にも穏やかに対応
  3. 苦手な相手でもないがしろにしない
  4. 自分の良い所を把握する

方法について、項目ごとに具体的に説明します。

方法①:相手の良い所を見つける

慈しみの心を持つ人になるには、まず相手の良い所を多く見つけることです。
人の良い面を見て嫌な気持ちになる人はいません。

相手への態度も友好的になります。
相手も優しく慈愛に満ちた態度を取られれば、こちらに好意を持つと考えられ、嫌な態度は取らないでしょう。

周囲の人のことを優しく思えるようになれば、慈愛の気持ちを持てるようになっていきます。
相手にとっても自分にとってもやりやすい環境になります。

方法②:悪意を持って接してくる相手にも穏やかに対応

どの人も万人に好かれるのは難しいです。
慈しみ深くあろうとも、どんなに礼儀をもって尽くしても、こちらを嫌う相手もいます。

嫌な対応をされても、感情的に応対せずに他の人に対するのと同じ穏やかな態度でいるのがおすすめです。
相手に「慈しみ深い人になれるために修行の機会を与えてくれてありがとう」と思いながら接すると良いでしょう。

好意的に見てくれる人から、慈しみ深い立派な人という印象を持たれて、さらに評価が上がるでしょう。

方法③:苦手な相手でもないがしろにしない

仕事で気詰まりな相手や、苦手とする人と合わなくてはいけない場合があります。
早々に切り上げたり、意見の対立を避けるために黙ってしまったりすることもあるでしょう。

例え苦手な相手であっても、ないがしろにしないことです。
慈しみの心で相手に対応しましょう。

にこやかに挨拶をした後、相手の言い分を全部聞きます。
相手が話をしやすいように、適度に相づちをうって言い返さずにじっと耳を傾けます。

途中で自分の意見を差し挟まずに、相手の気持ちを察して親切に優しく振る舞えるようになれば、自然と慈愛の気持ちが湧くようになってくるでしょう。
苦手であった人も認めてくれて、良き理解者になることも考えられます。

方法④:自分の良い所を把握する

どうしても慈しみの心を持つのが難しい状態であれば、自分自身の良い所を把握しているかチェックする必要があるでしょう。
自分のことを好きで自信があるのなら、自然と相手のことをプラス評価できるようになるため、慈しみの心を持てるようになります。

しかし、自分を罰するように悪い所しか見られないのであれば、人の良い面を見るのは難しいでしょう。
自分の短所だと思う所を挙げて、プラスの評価に変え長所だと思えるようにしましょう。

まず自分の気持ちや考え方を変えていくのがおすすめです。

慈しみ深い名言集

慈しみの気持ちを表すような形のハートの木

深い慈しみの心を感じる著名人の言葉をいくつか紹介します。

名言①:慈しみの心を持って人に接する大切さ

あなたに出会った人がみな、最高の気分になれるように、親切と慈しみを込めて人に接しなさい。
あなたの愛が表情や眼差し、微笑み、言葉にあらわれるようにするのです。

法王に聖人と認められたマザー・テレサの名言です。
常に人に対して親切な気持ちと慈しみの心を持って接するようにという言葉です。

表情や発する言葉などに表して慈愛の心を示すことにより、相手が気分を良く過ごせることになります。
当事者ではない周囲の人も、愛情深く対応する様子を見ていて、非常に良い気分になるでしょう。

巡り巡って、皆が自分に対してより良く対応してくれるようになる場合があります。

名言②:人の長所を愛する心

人の長所が多く目につく人は、幸せである。

大企業の経営者である松下幸之助の言葉です。
相対した人の良い点が目に付く人は、幸せな人生を送っていることを言い表しています。

短所は長所の行き過ぎた所だと良く言われています。
悪い所ではなく良い所が目に付くということは、誰に対しても慈しみ深く優しいまなざしで見ていると考えられます。

プラス思考で前向きな生き方をしていることにもなるでしょう。
優しく人を見ていれば、嫌なことを目にせず幸せな気持ちでいられますし、相手も嬉しく好意を持ってくれることでしょう。

名言③:生きている意味について考える

人の苦しみをやわらげてあげられる限り、生きている意味はある。

三重苦の障害を負ったヘレン・ケラーの言葉です。
どのような人であっても、誰かの苦しみを和らげられる存在であれば生きている意味があると言うことです。

自分自身の存在を念頭に置いて発した言葉と思われます。
しかし、誰の役にも立っていない、生きる価値がないと落ち込んでいる人がいれば、自分自身が救われる言葉でしょう。

孤独な人であっても、仕事や趣味、日頃の活動を通じて誰かの役に立っていると思われます。
全ての人に対して、慈しみ深い気持ちを込めた優しい名言です。

名言④:多くの人から愛される理由

彼は人を好きになることが好きだった。
だから、人々は彼のことを好きだった。

アメリカの作家マーク・トウェインの言葉です。
人に慈しみの気持ちを接していれば、好意で返してくれるということです。

まず、自分から慈しみの気持ちを表に出して人に接することが大事ということでしょう。
人間関係で悩んでいるのであれば、自分から慈愛の気持ちを示してみるといいでしょう。

すぐには無理かもしれませんが、取りあえず挨拶から明るくはきはきとしてみるとよいかもしれません。

名言⑤:愛や信頼を得る秘訣

優しい言葉をかければ、信頼が生まれる。
相手の身になって考えれば、結びつきが生まれる。
相手の身になって与えれば、愛が芽生える。

中国の思想家の老子の言葉です。
優しい言葉をかけたり、相手の身になって対応したりして信頼や強い結びつきが生じることを言っています。

更に、相手に慈しみ深い気持ちを持って接すると愛情が芽生えると説いています。
相手を包み込むように深く慈愛の気持ちを持つことが、愛情に繋がるのでしょう。

名言⑥:人が幸せになるために

かなしみはちからに、欲りはいつくしみに、いかりは智慧にみちびかるべし

作家の宮沢賢治の言葉です。
悲しみの感情や、独占して欲しいと願う気持ち、怒りの心は非常に強いマイナスの感情です。

マイナスの感情を持ち続けると、悪い影響を受けることがあります。
悪い気持ちを、その人の持つ能力や慈しみの心、知恵という前向きな力に変えていけるように持って行けば、幸せになれるということを示しています。

初めのうちは切り替えが難しいかもしれません。
前向きで幸せな生き方ができるように、少しずつでも努力しましょう。

自然と人を深く愛せるようになる慈しみの心

赤ちゃんに慈しみの気持ちで接する母親

「慈しみ」には、相手に自然と優しく見守る愛情大切に可愛がる気持ちがわき起こるという意味があります。
自分の子供や目下の人、弱い立場に置かれている人に対して向ける深い愛情を示すために使われる言葉です。

穏やかで優しい人のイメージがありますが、人に対する親愛の情を貫ける強い心を持った人でもあります。
慈愛の心を持てるようになるには時間がかかります。
自分に自信を持ち、人の良い面を見て思いやりの心を持つようにすれば、周囲の人に対して慈しみの気持ちが湧いてくる優しく強い心が持てるようになるでしょう。

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ライター
noel編集部

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