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「リセット症候群」とは?

リセット症候群とコミュニティー

人は、一人では生きていけない動物だといわれています。
とくに現代は、誰でも「家族」という最小のコミュニティーを始め、学校、会社、地域といったコミュニティーに所属しています。

こうしたコミュニティーでは、人間関係を上手に保たなければなりませんが、複雑化した人間関係にストレスをためている人も多くなっています。
そんなとき「もう、人間関係に疲れた」「すべてリセットしてしまいたい」と強く思うことがあります。

しかし、実際には、そこまで行動を起こす人はあまりいません。
なぜなら、今までで築いてきた関係をすべてゼロにすることは、今までの自分もリセットすることになるからです。

しかし、リセット症候群では、簡単にある日突然、音信不通になってしまったり、転職したり、引っ越して居所さえわからないということが起こります。
そして、それを何度も繰り返し、リセットすることへのハードルがどんどん下がってしまうのです。
このリセット症候群の背景には、インターネットの普及とともにSNSで、見知らぬ人と簡単につながることができることが関係しています。
安易な人間関係は簡単に壊れてしまっても、それほどダメージはありません。

このような関係に慣れてしまうため、リアルな生活においても安易に人間関係をリセットできてしまうのです。

リセット症候群の症状

リセット症候群で引っ越しをする女性

では、リセット症候群の症状をみていきましょう。

  1. SNSのブロック・退会
  2. アドレス変更を秘密にする
  3. 転職を繰り返す
  4. 引っ越しを繰り返す
  5. 突然音信不通になる

続いて、リセット症候群の症状を、それぞれ詳しくみていきます。

症状①:SNSのブロック・退会

Facebook、LINE、twitter、Instagramなど多くの人がSNSを利用しているのではないでしょうか。
こういったSNSで、世界中の知らない人とコミュニケーションを楽しめるのも、インターネット普及のおかげです。

SNS上の関係ですが何の前触れもなく突然、連絡もなく削除、フォロー解除、ブロックされてしまうと、とても悲しい気持ちになります。
さらに、何の前触れもなく退会してしまうというケースもあります。

それだけでなく、しばらくすると、平気な顔で新しいアカウントを立ち上げて、全く違うコミュニティーを作り出すことを繰り返すという人も少なくありません。

症状②:アドレス変更を秘密にする

迷惑メールに対抗するなどの目的で、メールアドレスを変える人も多いのではないでしょうか。
通常なら、「メルアドを変更したから登録お願いします」というメッセージをもらいますが、リセット症候群の人たちは、メルアドが変わっても、変更したことを周囲に知らせることはありません。

全員に教えないというだけでなく、もう関係になりたくないと思った人だけ限定するのも、ある種のリセット症候群といっていいでしょう。

症状③:転職を繰り返す

自分にスキルや夢があって、前向きの転職であればいいのですが、理由が「人間関係が面倒くさくいから」というのはいかがなものでしょう。

若いうちから、転職を繰り返すと次の転職先の評価が下がるのは当たり前のことです。
しかし、リセット症候群の人は、評価よりも「今自分が居心地がいいか」に固執する傾向があり、居心地が悪ければ、簡単に会社を辞めてリセットしてしまいます。

症状④:引っ越しを繰り返す

今までの人間関係をリセットするために、転職だけでなく引っ越しをしてしまうリセット症候群の人もいます。

今までの人間関係がわずらわしくなって、知らない土地でまっさらの状態から再スタートしたいという気持ちもわからなくもありません。
場合によっては、新天地で気分一新、再スタートすることが、その後の人生に良いことをもたらすかもしれません。

しかし、リセット症候群の人は、頻繁に引っ越す傾向があります。
少しでも人間関係がこじれると、それを修復する努力もせずに、さっさと逃げだすことが習慣となってしまうのです。

症状⑤:突然音信不通になる

昨日まで普通に連絡を取り合っていたのにもかかわらず、いきなり「現在使われていない」や「アクセスできません」など、シャットダウン状態になってしまいます。
その原因は、まったくわからないというのがほとんどです。

すべての連絡方法がシャットダウンしてしまっているケースが多く、気になっていても連絡が取れません。

リセット症候群になる原因

リセット症候群でSNSをブロックする女性

  1. 嫌われているという思い込み
  2. 期待に応えられないプレッシャー
  3. しがらみに対する嫌気
  4. 気を遣うことに疲れた
  5. 演じることに疲れた
  6. 関係の必要性を感じない

続いて、リセット症候群の原因を、それぞれ詳しくみていきます。

原因①:嫌われているという思い込み

職場や同僚、そのほかにもいろいろな人間関係はあります。
そのなかで、自分が嫌われている、あるいは避けられているという恐怖心や不安がつのることで、いっそのこと今の人間関係をリセットしたいと思う気持ちに拍車をかけてしまうのです。

人は、できるだけトラブルを回避したい「回避依存」や相手から嫌われたくないとい「対人恐怖症」の要素を持つ人もいるので、思い込みや被害妄想からリセット症候群になってしまうこともあります。

原因②:期待に応えられないプレッシャー

仕事や勉強において、周囲から多大な期待をされるというのは、よくあることです。
それをバネにして、さらなる高みに向かうというのが理想ですが、期待されるのがつらいというケースもあります。

期待されていると、その期待を裏切ってしまったという自己嫌悪の念でいっぱいになってしまいます。
周囲が自分を見る目や評価がどんどん下がってしまっている状況で、平常心でいられなくなって追い詰められてしまいます。

原因③:しがらみに対する嫌気

しがらみというのは、厄介なものです。
一対一の関係なら、思いも伝えやすいのですが、そこに第三者が絡んでくると複雑さが増してきます。

たとえば「別れ話」ひとつにしても、男女の問題ですっきり別れられそうなものですが、親戚、友人、その他諸々が絡んでくることで、「あー!もうこんな関係なかったことにしたい」という気持ちになり、実際に行動に移してしまいます。

原因④:気を遣うことに疲れた

人間関係をスムーズにするためには、ある程度、他人に気を遣うことは必要です。
とくに最近では「空気を読むこと」が人間関係にとって必須で、これができない人は排除される傾向すらあります。

仲間外れされるのを怖がって、相手に合わせていると気を遣い過ぎてしまって、限界に近くなってしまいます。
限界を超えてしまうと、自分を守るためにも関係をリセットしてしまいます。

原因⑤:演じることに疲れた

人間は、誰でも相手にとっていい人、ステキな人、あるいは尊敬できる人でありたいものです。
しかし、実際の自分との乖離があると、それだけで背伸びをしなくてはなりません。
背伸びをすればするほど、さらなる背伸びをしなくてはならないのです。

自分のキャパ内であれば大丈夫ですが、それを超えてしまう場合には、演じることに疲れてしまいます。
いちいち、本当の自分は違う!と言って回るのもしんどいですから、結局今までの人間関係をリセットする方がラクということです。

原因⑥:関係の必要性を感じない

ある目的だけの人間関係、たとえば仕事や趣味だけで繋がっていた場合、人間関係を手段として捉えている場合、リセット症候群になる可能性が高くなります。
集団で行動するよりも、個人で行動することを好む人に多い傾向です。

関係を密にするのは、あくまでも仕事の利害性があってのことで、それがなくなってしまえば、今まで築いてきた人間関係も全く必要を感じないため、平気でリセットすることができます。

リセット症候群になる人の特徴

リセット症候群で現実から逃げる女性

では、リセット症候群になる人にはどのような特徴があるのでしょう。

  1. 無理して人に合わせるタイプ
  2. 自分を出すことが苦手なタイプ
  3. 完璧主義者
  4. 自尊心が低い人
  5. ストレスをためやすい人
  6. プライドが高い人

続いて、それぞれの特徴を詳しくみていきます。

特徴①:無理して人に合わせるタイプ

自分とは、相性が悪いと思っても、その人との関係をつなぎとめておきたいがために、無理して相手に合わせてしまうことが続くとリセット症候群になりやすくなります。

価値観の違いは、人間それぞれですが、社会的な地位の上下などがあると、どうしても相手に合わせなければならない場合もあります。
しかし、そのひずみが長く続くことで限界を超えてしまうと、もうこれ以上の関係は続けていけないという最終結論であるリセットに至ってしまいます。

特徴②:自分を出すことが苦手なタイプ

相手の気持ちだけを優先にし過ぎて、自分の気持ちを殺してしまう人もいます。
そういった人は、自分がどう見られているのか気にしたり、上下関係を必要以上に考えてしまったり、自分の本音を否定されることを怖がっていることがほとんどです。

いい人をずっと続けていることに対して、ある日突然「こんなのは自分じゃない!」と気持ちが爆発してしまい、自分を取り戻すためにも衝動的にリセットしてしまいます。

特徴③:完璧主義者

完璧主義者というのは、相手にも完璧さを求めるのと同時に、相手に映る自分の姿が完璧であるかどうか、非常に気にするものです。
自意識が過剰なので、自分が理想とする姿が相手に伝わらないとなると、それだけで、この世から消えてなくなりたい、姿をくらましたいと思ってしまうのです。

人間は、完璧な人はいません。
それなのに完璧主義者としては、そのギャップが許せないのです。

まわりの評価が自分の思い描いたものと程遠くなってしまうことで、これは自分ではない、もっと違う自分があるはずだという思いから、今までの関係をなかったことにして、新しい評価を得ようとするのです。

特徴④:自尊心が低い人

自信心が低い人というのは「どうせ、私なんか」という人です。
自分自身を尊重できず、現在の人間関係にも自信が持てないので、すぐに人間関係をリセットして、ラクになりたいと考えてしまうのです。

その気持ちの根底には、どうせ自分のような人間がいても、誰も心配しないし、気にもかけないだろうから、リセットしてもいいだろうという気持ちが優先しているのでしょう。

特徴⑤:ストレスをためやすい人

ストレスというのは、人それぞれ違っています。
同じストレスでも、ひどく心に突き刺さるストレスもあれば、逆にやる気になるストレスもあるのです。

リセット症候群の場合、ストレスに対して過剰に反応する人が多い傾向にあります。
ストレスが解消されず、行きつくところがリセット症候群というケースが多いのです。

特徴⑥:プライドが高い人

性格的にプライドが高い人も、リセット症候群に陥る可能性が高くなります。
なぜなら、プライドが高い人は、人の話を素直に聞かないからです。

人間関係において、誤解や勘違いなどはよくあることです。
しかし、そこにプライドが入ってしまうと、うまく解決することもできなくなってしまいます。

プライドが邪魔して素直に謝ることができなかったり、かえって状況を悪化してしまったりする危険性があります。

リセット症候群を克服する方法

リセット症候群とネットl

では、リセット症候群を克服する方法をみていきましょう。

  1. もう少しわがままになる
  2. 人との距離感を大切にする
  3. むやみに孤独を恐れない
  4. 完璧を求めない
  5. 複数のコミュニティーを持つ

続いて、リセット症候群を克服する方法を、それぞれ詳しくみていきます。

方法①:もう少しわがままになる

100%のわがままはトラブルの元ですが、ほんの少しのわがままは、自分にとって、ストレスをためなくて済む最良の方法です。

今までは自分の要求を我慢していたけれど、「このお店に行きたい」「それはちょっとイヤだ」など、自分の気持ちに正直になって「これ!」と口に出してみることです。

こうすることで、まわりも言いなりの人ではなく、自分自身のはっきりとした意思を持っている人だと思ってくれます。

方法②:人との距離感を大切にする

人との距離を詰めすぎることで、摩擦や思い違いでトラブルが発生することがあります。
人間関係があまりにも近すぎると、それだけでストレスの原因になってしまいます。

とても難しいのですが「付かず離れず」という距離感をうまく保てるよういにすると、リセット症候群に対しても徐々に気持ちを正常に保つことにつながります。

方法③:むやみに孤独を恐れない

リセットする関係。それは孤独を恐れるために、とりあえず作った関係なのかもしれません。
つまり、孤独が怖くて、とりあえず誰でもいいから共通点を見つけて、友達だと思っていたいということです。

しかし、誰でもが一人でいるのを嫌がっているわけではなく、孤独を楽しんでいる人も多いはずです。
むやみに孤独や独りぼっちを悪く思う必要はありません。

方法④:完璧を求めない

リセット症候群に陥りやすい人は、完璧主義者に多い傾向があります。
しかし、もともと人間は不完全な生き物で、だからこそ努力をするのです。

どうせ全て完璧にやりこなすことなど不可能だと考え、手抜きをする自分を許しましょう。
実際に手抜きをすると、本当に気持ちがラクになって、毎日を今までよりもずっと楽しくすごすことができます。

方法⑤:複数のコミュニティーを持つ

人間関係を円滑にするというのは、とても難しいことです。
ひとつのコミュニティーだけに固執すると、その狭い世界に息苦しさを感じてしまうかもしれません。

たとえば、会社というコミュニティーで過ごす時間ほとんどだとします。
いわゆる仕事人間です。

そうなると、職場の人間関係が悪化したり、居心地が悪くなったりすることで、どんどん辛くなってしまいます。
しかし、会社以外のコミュニティー、たとえば趣味やボランティアなど、違ったコミュニティーを持つことで、視野が広くなるのでリセット症候群に陥らずに済みます。

リセット症候群は若いうちに脱却すべし

リセット症候群とSNS

人間関係をリセットするというのは、100%悪いことではありません。
ときには、嫌な自分と決別して、新しい自分に生まれ変わるために、今までの人間関係をあえて切るというポジティブシンキングのリセットもあります。

しかし、それができるのもやり直しがきく若いときだからです。
30代、40代になってもリセット症候群から抜け出せていなければ、大きな損失につながる危険性もあります。

人間関係をリセットするために転職ばかりを繰り返したり、せっかく築いた人脈をムダにしたり、心から信頼できる相談相手もできなくなってしまいます。
できるだけ早く脱却して、健全な人間関係を作れる人生へとシフトしていきましょう。

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ライター
noel編集部

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