
アセクシャルとは?アセクシャルの人の特徴&診断項目
あなたは「アセクシャル」という言葉を聞いたことがありますか? 最近では「LGBT」という言葉が広く知られたこともあって、セクシャルマイノリティに対する理解が徐々に深まってきています。 しかし、「アセクシャル」をはじめとした「LGBT」以外のセクシャルマイノリティを知っているという人は少ないと思います。 そこで今回は、アセクシャルの人の特徴や気づくきっかけ、アセクシャルかどうかの診断項目について解説していきます。
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アセクシャルとは?
「アセクシャル」とは、「無性愛」とも呼び、他人に対して恋愛感情を抱かない、他人に対してセックスやキスなどの性的な行為への欲求を抱かない人のことを指すセクシャルマイノリティのひとつです。
これは、性行為に嫌悪感を抱く「性嫌悪」や、そもそも性欲自体が存在しない「無性欲」とは異なるものです。
「アセクシャル」と「ノンセクシュアル」の違い
「アセクシャル」と混同しやすい言葉として「ノンセクシャル」というものがあります。
この両者の違いとしては、他人に対して恋愛感情を抱くか抱かないかという点です。
「ノンセクシャル」とは、他人に対して恋愛感情を抱くことはあっても、セックスやキスなどの性的欲求を抱かない人のことを指すセクシャルマイノリティのひとつです。
つまり、恋愛感情も性的欲求も抱かないのが「アセクシャル」、恋愛感情は抱いても性的欲求は抱かないのが「ノンセクシャル」ということになります。
アセクシャルの人の特徴
では、アセクシャルの人の特徴をみていきましょう。
- 一度も恋をしたことがない
- 恋愛漫画やドラマを見てドキドキしない
- 家族や友人に抱くような愛情はある
続いて、アセクシャルの人の特徴を、それぞれ詳しくみていきます。
特徴① 一度も恋をしたことがない
アセクシャルの人の最大の特徴としては、今まで一度も恋をしたことがないということでしょう。
思春期に突入すれば、異性のことを意識するようになって、一度は誰かに恋をしたことがあるという場合がほとんどでしょう。
しかし、恋愛感情が芽生え始める10代ではもちろんのこと、結婚していてもおかしくない20代や30代になっても一度も他人に対して恋愛感情が芽生えることがないのです。
特徴② 恋愛漫画やドラマを見てドキドキしない
恋愛ものの漫画やドラマの中で、登場人物が手を繋いだり、キスをしているシーンを見ると、心がときめいたり、胸がドキドキしてしまうという人がほとんどでしょう。
しかし、アセクシャルの人は、そもそも恋愛感情がどういった感情なのか理解することができていません。
そのため、漫画やドラマのストーリーを理解したり、楽しむことができたとしても、登場人物が手を繋いだり、キスをしているシーンを見たところで胸がドキドキすることがないのです。
特徴③ 家族や友人に抱くような愛情はある
恋愛感情としての「好き」という気持ちを抱くことはありませんが、家族や友人に抱くような愛情は感じるという特徴があります。
そのため、愛情を抱いている人と一緒にいたい、同じ時間を過ごしたいという気持ちを抱くこともあるのです。
しかし、その愛情は恋愛感情とは別の感情なので、好きな人と一緒にいてドキドキしたり、好きな人と手を繋いだり、キスやセックスをしたいという気持ちを抱くことはないのです。
アセクシャルになる原因
アセクシャルをはじめとしたセクシャリティというのは病気ではないので、アセクシャルになる根本的な原因はなく、生まれつきのひとつの要素であるとしか言えません。
一部では、人を好きになったことで何かトラウマを抱えたり、生まれ育った環境などが原因ではないかとも言われていますが、現在でははっきりとした原因は分かっていません。
アセクシャルだと気付くきっかけ
では、アセクシャルだと気付くきっかけをみていきましょう。
- 他人との感覚の違いやズレを感じた
- 今まで一度も恋をしたことがない
続いて、アセクシャルだと気付くきっかけを、それぞれ詳しくみていきます。
きっかけ① 他人との感覚の違いやズレを感じた
自身がアセクシャルであることを公表され、ユーチューバーとしても活動されている中村健さんは、中学時代に仲の良かった女性に「付き合って」と言われたそうです。
中村さんはそれを買い物に付き合ってという意味でとらえて「いいよ」と答えてしまったそうです。
しかし、女性の方は男女のお付き合いという意味でとらえているので、なかなか恋愛として発展しないことから、次第にその女性は中村さんから離れていき、周りの人からも「あなたが悪い」と言われてしまったそうです。
それから、自分の感覚と周りの人の感覚にズレがあることを認識されたことがきっかけとなったそうです。
きっかけ② 今まで一度も恋をしたことがない
中学生や高校生になってまだ恋をしたことがないというのであれば、好きになれるような人が現れていないだけで、自然と好きになれるだろうと思えるかもしれません。
しかし、20代や30代になっても恋をしたことがないとなると、さすがに「周りの人と自分は何かが違うのではないか」と疑問を抱く人も少なくないのです。
そして、セクシャルマイノリティについて徐々に知られるようになった現代では、このようなセクシャリティがあることを知って、自分がアセクシャルであることを自覚する人も増えてきているのです。
アセクシャルが受けやすい誤解
今では「LGBT」という言葉が広く認知され、セクシャルマイノリティに対する理解も深まってきてはいます。
しかし、「アセクシャル」の場合は、そもそもそういったセクシャリティがあること自体知らないという人がほとんどでしょう。
そのため、恋愛感情や性的欲求を抱いたことがないのは単に恋愛やセックスに興味がないだけだという誤解されてしまうことが多いのです。
また、人を好きになったことがないのは「人間嫌いだから」と思われて性格が冷たいと誤解されてしまうことも少なくないのです。
アセクシャルの人が抱える悩み
アセクシャルの人は、好きな人や恋人がいたり、結婚していてもおかしくないような年齢になっても、他人に恋愛感情を抱いたり、性的欲求を抱くことがありません。
そのため、自分の感覚と周りの人との感覚にズレがあることで悩みを抱えたり、「人を好きになることができないのは自分がおかしいのではないのか」と悩みを抱えてしまう人も少なくないのです。
アセクシャルかどうかの診断項目
診断① 成人を過ぎても恋をしたことが一度もない
中学生や高校生になると異性を意識し始めるので、それまでには初恋やお付き合いを経験している人が大半を占めるでしょう。
また、中学生や高校生であれば、今まで一度も誰かを好きになったことがなかったり、お付き合いをした経験がないというのは不思議なことではありません。
しかし、成人を過ぎても恋をしたことが一度もない場合は、アセクシャルである可能性も十分に考えられます。
ただ、セクシャリティがノーマルの人でも成人を過ぎて一度も恋をしたことがないという人は少なからずいます。そのため、これだけではアセクシャルなのか判断するのは難しいところでもあります。
診断② 恋愛漫画やドラマを見ても共感できない
恋愛漫画やドラマでロマンチックなシーンを見たり、甘く切ない気持ちを抱く登場人物に対して、何に感動するのか、登場人物がなぜそのような気持ちになっているのか理解することができません。
こういった人は、そもそも恋愛漫画やドラマを見て「キュンってする」という意味が分からないのです。
そのため、他ジャンルの漫画やドラマのように、ストーリー自体は普通に楽しめても、登場人物の気持ちに共感しながらストーリーを楽しむことはできないのです。
診断③ 友人の恋バナに全く興味がない
中学生や高校生になって思春期に突入すると、友人と恋バナをして一緒に盛り上がることも多いものでしょう。
しかし、アセクシャルの人は恋愛感情そのものを理解することができないので、友人が恋バナをしていても話の内容に興味を持つことはありません。
好きな人や彼氏のことで楽しそうに話している友人を目の前にして、一体何がそんなに楽しいのか理解することができないのです。
診断④ 恋愛感情と家族や友人に抱く愛情の違いが分からない
アセクシャルの人は、恋愛感情としての「好き」という気持ちは抱かないものの、家族や友人に抱くような愛情や友情は抱きます。
つまり、恋愛感情がないからといって、家族や友人を愛する気持ちがない冷たい性格ではないということです。
ただ、こういった人は、恋愛感情としての「好き」と、家族や友人に抱くような「好き」という感情がどのように違うのか理解することができません。
他人に対して恋愛感情を抱く人であれば、恋愛感情と家族や友人に抱く愛情の違いは上手く説明できなくても何となく理解できているはずなのです。
アセクシャルの人の快適な過ごし方
では、アセクシャルの人の快適な過ごし方をみていきましょう。
- 信頼できる相手にセクシャルマイノリティの理解を促す
- 恋バナは適当に相槌を打って聞き流す
続いて、アセクシャルの人の快適な過ごし方を、それぞれ詳しくみていきます。
過ごし方① 信頼できる相手にセクシャルマイノリティの理解を促す
「アセクシャル」というセクシャリティは、そもそもそういったセクシャリティがあることすら知らないという人が圧倒的多数を占めるでしょう。
そのため、他人に対して恋愛感情や性的欲求を持てないということを周りの人に理解してもらうのはなかなか難しいようです。
しかし、「LGBT」をはじめとしたセクシャルマイノリティへの理解は徐々に深まってきています。
そのため、心の底から本当に信頼できると思った人であれば、「実はアクセシャルなんだ」とカミングアウトしてみるのも良いでしょう。
そして、アセクシャルがどのようなセクシャリティなのか理解してもらえるように説明してみると良いかもしれません。
過ごし方② 恋バナは適当に相槌を打って聞き流す
セクシャルマイノリティに対する理解は深まってきてはいるものの、やはり自分とは違う価値観をありのまま受け入れることはできない人もいます。
そのため、アセクシャルであることを理解してもらえないような相手であれば、無理をしてその人にカミングアウトする必要はありません。
そして、その人と恋バナをする機会があれば、そういった話は適当に相槌を打って聞き流すのがベストな方法です。
アセクシャル以外のセクシャリティ
では、アセクシャル以外のセクシャリティをみていきましょう。
- レズビアン
- ゲイ
- バイセクシャル
- トランスジェンダー
- パンセクシャル
- セクシャルフルイディティ
- Xジェンダー
- クエスチョニング
続いて、アセクシャル以外のセクシャリティを、それぞれ詳しくみていきます。
セクシャリティ① レズビアン
「レズビアン」とは、「LGBT」の「L」に該当するセクシャルマイノリティのひとつで、性自認が女性で性的指向も女性の人を指す言葉です。
ちなみに、身体の性は男性であっても、自分のことを女性だと思っているのであれば、たとえ女性のことが好きでも、その人のセクシャリティはノーマルではなくレズビアンということになります。
セクシャリティ② ゲイ
「ゲイ」とは、「LGBT」の「G」に該当するセクシャルマイノリティのひとつで、性自認が男性で性的指向も男性の人を指す言葉です。
ちなみに、ゲイの場合も身体の性は女性であっても、自分のことを男性だと思っているのであれば、たとえ男性のことが好きでも、その人のセクシャリティはノーマルではなくゲイということになります。
セクシャリティ③ バイセクシャル
「バイセクシャル」とは、「LGBT」の「B」に該当するセクシャルマイノリティのひとつで、性的指向が女性と男性の両方である人を指す言葉です。
バイセクシャルの場合は、レズビアンやゲイと違って、身体の性はもちろんのこと、自身の性自認も関係がありません。
つまり、女性と男性のどちらの性に対しても恋愛感情や性的欲求を抱くのであれば、その人のセクシャリティはバイセクシャルということになります。
セクシャリティ④ トランスジェンダー
「トランスジェンダー」とは、「LGBT」の「T」に該当するセクシャルマイノリティのひとつです。
なお、トランスジェンダーは大きく分けて「トランスセクシュアル」「トランスヴェスタイト」「狭義のトランスジェンダー」の3種類に分類することができます。
「トランスセクシャル」とは、身体の性と性自認が一致しておらず、それによって嫌悪感や違和感を覚えている人のことを指します。
次に「トランスヴェスタイト」とは、「クロスドレッサー」とも呼び、身体の性と性自認は一致していても、自分の性とは異なった服装をする人のことを指します。
最後に「狭義のトランスジェンダー」とは、性自認と周りの人から見られる性が異なる人のことを指します。
例えば、身体の性と性自認が女性でも、周りの人からは男性にみられるという場合は狭義の意味でのトランスジェンダーということになります。
そして、これらの3種類を全て包括的に表現したものが、広義のトランスジェンダーということになります。
セクシャリティ⑤ パンセクシャル
「パンセクシャル」とは、「全性愛」とも呼び、好きになる相手の性別は関係ないというセクシャルマイノリティのひとつです。
「パンセクシャル」は「バイセクシャル」と混同されやすいのですが、2つの違いとしては、「相手のセクシャリティを意識するかしないか」という点が挙げられます。
バイセクシャルの人は「女性」と「男性」という性を意識した上で人を好きになります。
一方パンセクシャルの人は、「そもそも人を好きになるのにセクシャリティは関係ない」という考えを持っているので、相手のセクシャリティを意識することなく人を好きになることができるのです。
セクシャリティ⑥ セクシャルフルイディティ
「セクシャルフルイディティ」とは、「セクシャルフルイド」とも呼ばれており、水のように性的指向が定まっておらず、時々によって性的指向が変わるというセクシャルマイノリティのひとつです。
セクシャルフルイディティの人は女性と男性のどちらも恋愛感情を抱く可能性があります。
そのため、「バイセクシャル」と混同されやすいのですが、バイセクシャルの人は「自分は女性と男性の両方が好きだ」ということをはっきりと自覚しています。
したがって、相手のセクシャリティを意識した上で人を好きになりますし、女性と男性の両方に当てはまらない人に対しては恋愛感情を抱きません。
一方セクシャルフルイディティの人は、好きになった人がたまたま女性だった、たまたま男性だったというだけで、相手のセクシャリティを意識して人を好きになることがありません。
つまり、両者には「相手のセクシャリティを意識した上で好きになるのかならないか」という点に大きな違いがあるのです。
セクシャリティ⑦ Xジェンダー
「Xジェンダー」とは、体の性に関係なく、性自認が女性でも男性でもない性別の立場をとるセクシャルマイノリティのひとつです。
一般的に言うセクシャリティは「女性」と「男性」の2種類しかありませんが、Xジェンダーの人の場合は、男女の枠に自分を当てはめることに違和感を覚えている人が多いです。
そのため、自分は女性と男性の中間にいると認識している人もいれば、女性と男性のどちらでもないと認識している人もいたりと、Xジェンダーの人の性自認は人それぞれ異なります。
セクシャリティ⑧ クエスチョニング
「クエスチョニング」とは、今も自分の性自認や性的指向を考えている段階で、自分のセクシャリティが定まっていない人のことを指す言葉です。
また、「女性」や「男性」のようにセクシャリティをはっきりと定める必要があるのが疑問を抱いており、あえて自分の性自認や性的指向を定めていない人もクエスチョニングであると言えます。
様々なセクシャリティがあることを知り、理解を深めていくことが大切です!
アセクシャルの人は、周りの人から単純に恋愛やセックスに興味がない人だと思われたり、人間嫌いで性格が冷たい人といった誤解を受けてしまうことも少なくありません。
しかし、恋愛感情を抱くことができないだけで、家族や友人に抱くような愛情や友情は当然のように抱きます。
また、世の中にはアセクシャル以外にも様々なセクシャリティが存在します。
セクシャルマイノリティについて偏見を持つ人が大勢いるのも事実ですが、これからは様々なセクシャリティがあることを受け入れて理解を深め、偏見を持たずに普通の一人の人間として接していくことが大切なのです。
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