メンへラ男と付き合ったら自分もメンへラになった話
女子大生まゆ子さんに、過去のメンヘラ男と付き合って、自身もメンヘラになってしまった経験を書いていただきました。 メンヘラになった末に彼女が気づいたメンヘラ男の本質とは…?
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こんにちは、女子大生まゆ子です。
「女がメンへラになる原因は、男の言動にある」
これ、あながち間違っていないと思う。
「俺の彼女、メンへラでさ」
「俺、メンへラの子に好かれやすいんだよ」
という類の発言をする男と出会うと、私はいつも思ってしまう。
「それ、アンタの言動が女をメンへラ化させているのでは?」
いや、もちろんね、100%男のせいだとは言わないよ。
本人の性格上、常にメンヘラみたいな子もいるんでしょうよ。
でもね、普段どんなに精神が健康な子でも、惚れた男の言動によってはメンヘラ化しちゃうものなのですよ。
私も以前はその1人でした。今回はその話を。
傷を抱えた、闇深い男との出会い
当時私にアプローチしてきた年上の男は、私の知らないことを沢山知っていて、愛情表現が深くて、私はすぐに好きになった。
便宜上、今回はこの男を仮名で「土井」と呼ぶことにしておく。
土井が元カノの話をしてきたのは、付き合う前の3回目のデートのときだった。
内容は
「1年前に別れた元カノがとにかく最悪だった」というもの。
彼の話によると、その元カノは何度も彼との約束を破り、裏切り、最終的には金銭トラブル…という、負を凝縮したような女だったらしい。
このときもう既に彼のことが好きだった私は
「惚れた男が過去に受けた傷くらい、寄り添って一緒に乗り越えてやるぜ!」という、実に前向きな気持ちだった。
・・・この時点では。
「惚れた男の過去の傷卍」
そもそも、私はそれまで「彼氏の元カノ」という存在をさほど気にしたことがなかった。
しかしこのときばかりは、土井の元カノの存在が気になって仕方なかった。
原因は、私たちが付き合ってからも、彼が執拗に元カノの愚痴を話し続けたからだ。
「他の元カノはみんな良い子だったのに」
「あいつだけは最低だった」
「女だけど殴りそうになった」
「初めて本気で人を死ねと思った」
ちょっと、いや、かなり言い過ぎだとは思ったが、私は彼の発言を否定することなく、ただ頷いて聞いていた。
全ては「惚れた男の過去の傷卍」と思っていたからである。
結局この男が好きなのは。
しかし、彼の元カノへの憎悪は一向に収まらず、私は会うたびに愚痴を聞かされていた。
うんざりし始めた私は
「昔の辛かったとこより、今の楽しいことに目を向けよう!」
「もうその話は聞きたくない」
と言うようになった。
でも、私が助けようとすればするほど、彼の愚痴はエスカレートしていった。
・・・この男は、何なの?
もしかして、私の聞き方が悪いの?
だからこの人は、怒りが収まらないのか?
・・・私のせいか?
そんなはずはない。
ただ、当時の私は既に精神が滅入っていたので、マイナスな方向にしか発想が進まない。
そんな日々を過ごす中で、私は気が付く。
「結局今も、彼の心を占めているのは、私ではなくその”クソみたいな元カノ”なのではないのか?」
土井が私に向ける愛情が100だったら、元カノに向けている憎悪や殺意は200.(もしくはそれ以上)
しかも、「愛情と憎しみは紙一重」と言うじゃないか。
結局、彼が想っているのは、私のことではなく、そのクソ女のことなのだ。
メンヘラの初期症状「ネトスト」
この事実が許せなかった私は、すぐにSNSで元カノを探した。
クソ女でありながら、過去に私より愛されていたであろうその女は、どんな顔をしているのか。今どこで何をしているのか。
せめてブスであってくれ!
せめて不幸になっていてくれ!
執念に憑りつかれて、目を皿にして探したら、Twitterもインスタも、すぐにその女のアカウントが見つかった。
(これはメンヘラの初期症状、「ネットストーカー」である。)
元カノは、新しい彼氏と幸せに暮らしているようだった。
顔は特に可愛かったわけではないが、投稿から察するになんだかとても能天気で、それなりにモテるんだろうということが窺えた。
完全敗北の気分だった。
私はこの女に負けている。
彼の中で、コイツは私を遥かに上回る存在なのだ。
私はインスタグラムに載っていたその女の顔面をズームして、何故かスクリーンショットした。
嫉妬されることで、愛されてる気になる男
いつものように彼が元カノの愚痴を言い始めたとき、私はそれを遮るようにスクショした元カノの写真を見せた。
ネットストーカーする恐い女だと思われ、引かれないか心配だったが、それ以上に私は期待した。
私が元カノの存在を気にしていると知って、土井が愚痴を言うのを辞めてくれること。
そして彼が私に向ける愛情が、元カノに向ける憎悪を超えることを。
「元カノって、もしかしてこの女?」
私が写真を見せながら恐る恐る言うと、彼はとてもうれしそうに言った。
「うわ、めちゃめちゃ気にしてるじゃん(笑)」
そう言ったときの、私を馬鹿にしたような、意地悪な彼の笑顔を忘れられない。
今だからわかることだが、彼は元カノの話をして、私がどれだけ嫉妬してくれるかを計っていた。
「彼氏の元カノ」という存在を気にしたことがなかった私は、彼に元カノの話を聞いても、なかなか「嫉妬」という感情が湧いてこなくて、だからこそ彼の元カノへの悪口はどんどんエスカレートしたのである。
しかし、私が元カノをネトストしていると知って
「なんだ、めちゃめちゃ気にしてるじゃん」と、安堵したのだろう。
なんて女々しい野郎だ。
もちろん、本人に自覚があったかは知る由もない。
「元カノを消せば、私が彼の1番になれる」
それから、彼の元カノへの愚痴は少しだけ減った。
私が嫉妬しているのを確認して、もうそこまで言う必要がなくなったのだ。
しかし、私は元カノのネトストをやめられなかった。
元カノの写真を見ると、気分が悪くなった。
本当に胃がムカムカして、ものが食べられなかった。
実際、そのときの私は6~7キロ痩せた。
それでも、1日に軽く20回は元カノのインスタ、Twitterに無意味に訪問した。
そのうちにスパムを送るようになった。
この女が消えない限り、私は彼の中の1番にはなれない。
消えてくれ!!!
その一心で毎朝毎晩、スパムを送っていた。
もちろんのこと、このときの私は完全にメンへラである。
「彼から受けた傷は、彼にしか癒してもらえない」
痩せていく私に、土井はよく「太ったね」と言っていたし、メンタルが安定せずに不意に泣き出す私を見て「どうしたの?」と笑っていた。
私のメンがへラればヘラるほど、私は自分から離れていかないという確信が強くなっていったのかもしれない。
弱っている人は
「その人から受けた傷は、その人にしか癒してもらえない」と思い込みがちだ。
彼から受けた傷は、彼にしか癒してもらえない。
当時の私もそう思っていたが、本当は全然そんなことはない。
本当は、自分を傷つけてくる人間とは一刻も早く距離を置かなければならない。
ご飯を食べない私、不意に泣き出す私を見て、そのうちに親が心配し始めた。
自分でも、これではいけないなと思い始めた。
私はもともと1人の時間が大好きだったのに、その1人の時間にどうしようもなく孤独を感じてしまって、1人ではいられなくなった。
(メンヘラは「誰でもいいから傍にいて」という感情からヤリマンになりがちだが、まさにそれだ。幸い、ヤリマン化はしなかった)
私は、土井と別れることを決意した。
難航する別れ話
土井はどうせ私のことを愛してはいないと思っていたので、簡単に別れられると思っていた。
しかし、電話での別れ話は朝まで続いた。
土井がひたすら話をはぐらかし、まともに別れ話をしようとしなかったからだ。
最初は泣いていた私も、男があまりにも真面目に話そうとしないのでうんざりして、涙も乾いた。
結局、その電話を終わらせられたのは、彼のスマホに上司から電話がかかってきたからである。
「上司から電話かかってきたから、1回切るね!またかけ直すから!」
そう言って、彼は私との電話を切った。
その後、彼は本当に何度もかけ直してきた。
しかし、「別れる」と決めた私が、もう一度彼の電話に出ることはなかった。
ちなみに、その電話を切るキッカケをくれた上司の名前が「土井」という。
今回の彼の仮名は、そこから使わせて頂いた。
本当にメンヘラなのは男の方だった
別れてからも、彼は何度も電話をしてきた。
もうすっかり彼のことがどうでも良くなった私は、暇つぶし程度にたまに電話に出る。
30回かかってきたら、1回出るくらいの割合だ。
(元カノに30回電話してくる時点で、この男は間違いなくメンへラだ)
彼は時折、「寂しい」と口にする。
「だろうね」と私は答える。
相手を精神的に追いやって、依存させることでしか愛されてる実感を得られなかった男が、寂しくないはずがない。
「なんで俺の電話に出るの?」
「今の彼氏に大事にされてないんだね」
このあいだ、彼が私に言っていた言葉だ。
もう、救いようがない男だと思う。
何で出るのって、あんたが30回も電話してくるからだよ。
「今の彼氏に大事にされていないんだね」って、そう言えばまた私がメンへラ化してアンタのモノになると思ったか?
メンへラは、負の感情で人を繋ぎとめる方法しか知らないのだ。
そして本当にメンへラだったのは、私ではなく彼の方だった。
それに気付いたのは別れてから時間が経ってからだ。
自分の精神衛生は自分で守ること
この経験を経て沢山の学びを得ると同時に、それなりにトラウマも植え付けられた。
しかし、恋愛市場にいる以上、傷ついた・傷つけたで、いちいち泣いてもいられない。
「彼女がメンへラだ」という男は、是非一度自分の言動を顧みてほしいとは思うのだが、
それと同時に、結局自分の精神衛生は自分で守るしかないと、全員が心しておく必要がある。
もちろんのこと私は今、ピンピンに元気だ。
あの元カノも、よく見れば私の方が可愛かった。
自分の精神衛生は、自分で守っているのである。
私をメンへラにしたあの男も、いつかどこかで誰かと、ちゃんと真っ当な愛を育めるようになっていてほしいと思う。