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「ミスディレクション」の意味とは?

ミスディレクションの意味

ミスディレクション」は、英語ではMisdirectionと綴ります。
ディレクション(direction)には、方向、方角、動向、動き、指導、指示などの意味があり、頭についているミスはミステイク(mistake)のことです。

すなわち「ミスディレクション(Misdirection」は誤った方向に導く、つまり錯覚させるとう意味になります。
マジックの世界や、推理小説などではこの「ミスディレクション」がよく使われ、観客や読者を翻弄しています。

ここでは、その「ミスディレクション」について詳しくご案内しましょう。

ミスディレクションの種類

ミスディレクションを仕掛ける人

「ミスディレクション」の意味がわかったところで、次にその種類をご紹介しましょう。
「ミスディレクション」には、人間の五感を利用したり、心理的な習慣や習性を利用するものなど、多くの種類があります。
その中から、3種類を挙げておきましょう。

  1. アクシデント(accident)ミスディレクション
  2. サイコロジカル(psychological)ミスディレクション
  3. フィジカル(physical)ミスディレクション

種類①:アクシデント(accident)ミスディレクション

アクシデント(accident)とは、不慮の出来事のことを言います。
アクシデントを起して、注目を引いたり、逆に注意を逸らしたりすることで錯覚を導きます
このように、アクシデントを利用したミスディレクションがあります。

人間は、ひとつのことに注目している間は、別の新たな情報が入ってきてもそのことが瞬時には理解できないと言う特性があります。
それはすなわち、気が散るとひとつのことに集中できないという特性でもあります。

TVや映画で「スリ」と呼ばれる窃盗犯が、わざと相手に体をぶつけて、相手の注意を逸らした瞬間に財布を抜き取るシーンがあります。
これは、「体がぶつかる」というアクシデントを起し、そちらに意識を誘導するミスディレクションです。

種類②:サイコロジカル(psychological)ミスディレクション

人は誰もが常識や固定観念を持っています。
サイコロジカル(psychological)は「こうだろう」とか「当然こうだろう」などと思う人間の思い込みのことで、このサイコロジカルを利用してミスディレクションするのです。

たとえば、券売機の前で「チャリン」と音がしたら、小銭を落とした覚えはなくても、とりあえず自分の足元を確認してしまいます。
これは「チャリン」という音イコール「小銭を落とした」という思い込みによる行動です。

よく見ると隣の人の携帯電話の着信音だった、なんてこともあるものです。
このようなサイコロジカルミスディレクションは、マジックのトリックにもよく利用されます。

種類③:フィジカル(physical)ミスディレクション

フィジカルとは肉体的なと言う意味です。
このミスディレクションは視力や聴力など人間の感覚器を利用する種類のものです。

たとえば、映画などで追手から逃げる時に、物陰から小石などを投げて音を立て、追手がそちらを向いている間に反対方向に逃げるシーンがよくあります。
これも、耳や目の錯覚を利用したミスディレクションです。

また、運動会などで、わが子ばかりを追いかけて見ていると目の前を友人が通っていても気付かないということがあります。
人はいくら目で物をみていても、脳が認識しなければ見えていないのと同じことです。

このような五感の習性を利用したフィジカルミスディレクションもマジックなどではよく使われます。

マジックでのミスディレクションのやり方

ミスディレクションを使った手品

ミスディレクションは、マジックではよく使われる技法です。
マジックには必ず「タネ」があります。

そのタネがばれない様に、ごまかすために使われるのがミスディレクションです。
マジックは「タネ」とミスディレクションを合わせて観客にトリックを仕掛けるのです。

では、ミスディレクションを使ったマジックをいくつかご紹介しましょう。

  1. カードが浮かぶ!注意を逸らしたミスディレクション
  2. コインが消える!思い込みを利用したミスディレクション
  3. アクシデントを利用したミスディレクション
  4. ストローが勝手に曲がる!目の錯覚を利用したミスディレクション
  5. 見えない文字を読む!指の動きでミスディレクション

①:カードが浮かぶ!注意を逸らしたミスディレクション

選んだカードを、カードの山の真ん中に入れます。
そしてチョチョイとおまじないをするとアラアラ不思議、カードが一番上浮いてくるカードマジックです。

実はカードは真ん中には入れていません。
それをいかにも真ん中に入れたように視線を誘導してミスディレクションしています。

②:コインが消える!思い込みを利用したミスディレクション

コインが消えるマジックです。
まず、両手の間で、強めにコインを投げ合います。

何度か投げ続けるうちに、見ている方は次も当然投げただろうと思い込んでいます。
その思い込みを利用してミスディレクションを仕掛けています。

実は、コインは投げたと見せかけて投げられていません。
人間の思い込みを利用したミスディレクションを利用したマジックです。

③:アクシデントを利用したミスディレクション

マジシャンの手の中からコインが消えてしまうマジックです。
まず、マジシャンは左右の手でコインを投げ合っています。

そして、投げるコインに視線が集まったら、コインをわざと落とすアクシデントを起します。
そのアクシデントに気をとられた瞬間にミスディレクションを仕掛けるのです。

④:ストローが勝手に曲がる!目の錯覚を利用したミスディレクション

単純な目の錯覚を利用したマジックですが、その錯覚こそがミスディレクションです。
相手に見せる角度で、まるで勝手にストローが曲がったように見えるマジックです。

⑤:見えない文字を読む!指の動きでミスディレクション

紙に書いた文字を言い当てるマジックです。
まるで超能力のように思えますが「見えているはずがない」という人間の心理を利用したミスディレクションマジックです。

実は、紙の折り方と角度の付け方で中の数字がマジシャンには見えているのですが、マジシャンの巧みな指の動きと声掛けによる誘導ですっかり騙されてしまいます。

人間の思い込みと、マジシャンの指の動きで誘導された錯覚を利用して真実を見えなくした見事なミスディレクションマジックです。

ミスディレクションの練習のやり方

ミスディレクションのテクニック

ミスディレクションはマジックや、推理小説のトリックに利用されるだけではありません。
もちろん普段の人間関係でも利用できるテクニックです。

しかし、それほど簡単に習得できるものでもありません。
では、ミスディレクションを日常生活の中でも使えるようになるために、心がけるべき練習方法をご紹介しましょう。

  1. 人間の心理を勉強する
  2. 人の視線の動きを予測する
  3. 人の心理を誘導する言葉を学ぶ
  4. ミスディレクションを想定して質問に答える
  5. 繰り返し試す

①:人間の心理を勉強する

ミスディレクションを操るには、何より人の心理を知らなければなりません。
ミスディレクションは人の様々な心理を利用して、相手を錯覚させることを利用します。

ですから人間がどのような時にどのように感じ、どのように考えるのかを熟知し、利用することが必要なのです。

とくに人間の心理の中でも、人間の行動が持つ意味、その行動をする時の心理を追及した行動心理学や、人間が見たものや聞いたものなどから得る 情報がどのように処理されていくのかの仕組みを追及した知覚心理学は、ミスディレクションによく利用されています。

ミスディレクションを習得するためには、まず人の心理を勉強しましょう。

②:人の視線の動きを予測する

ミスディレクションは、人の視線を支配しなければなりません。
そのためには、普段から人の視線を観察し、どのような時にどのような視線の動きをするのかを予測する練習をしましょう。

視線の予測ができれば、視線の誘導ができるようになります。
ミスディレクションでは視線の誘導がポイントになることが多くあります。

③:人の心理を誘導する言葉を学ぶ

ミスディレクションでは、言葉がけも必要です。
言葉で人の行動がコントロールできるようになる必要があります。

人がどんな言葉でどんな行動をするのか、どんな心理状態になるのかなど、周りの人々をそれとなく観察してみましょう。

④:ミスディレクションを想定して質問に答える

ミスディレクションは、誘導することです。
相手の思考を自分の想う方向に誘導することが必要です。

そのためには、日頃から会話の中で相手の思考を自分の思うように誘導する練習をしましょう。
例えば、相手の質問に「yes・no」を使わずに、「yes、no」を理解させるように言葉を操ります。

その時にはウソをつかずに、そう思い込ませる必要があります。
このように、相手の心理を誘導する練習をしてみましょう。

⑤:繰り返し試す

ミスディレクションはそう簡単に身に付くものではありません。
しかし、意識して練習すればある程度は使えるようになるのもです。

当然ですがミスディレクションをマジックで使うなら、心理と共にカードさばきなどの指先の練習も必要です。
どちらも、繰り返し練習し、繰り返し試してみることがミスディレクションを使いこなす第一歩になるでしょう。

ミスディレクションが使われる場面

ミスディレクションを内緒で使う場面

マジックや、推理小説でよく使われるミスディレクションですが、その他にも使われることはあるのでしょうか。
普段の暮らしの中で、ミスディレクションが使われる場面をいくつかご紹介しましょう。

  1. 面接
  2. 合コン
  3. 同窓会
  4. ビジネス
  5. 詐欺
  6. 恋愛

場面①:面接などの場面

面接で聞かれたことで言いたくないこともあるはずです。
でも、嘘をつくのも気が引けるし、どう答えたものか思案して言葉に詰まってしまいます。

そんな時にミスディレクションが役立ちます。
ミスディレクションの効果は、相手の思考や感覚を上手く誘導できることにあります。

例えば「喫煙をしますか」と尋ねられたとします。
本当は何度も禁煙にチャレンジし、喫煙外来まで受診したにもかかわらずタバコがやめられていない場合は「吸いません」とウソをつくのは気が引けます。

そこで「昨年、禁煙外来に通いました」と答えます。
その答えで相手は勝手にタバコを吸わないと思ってくれます。

こちらは決してウソはついていません。
「禁煙外来に通った」イコール「禁煙した」という思い込みを利用したミスディレクションです。

場面②:合コンなど出会いの場面

人間は出会いの場では、ある程度自分を演出するものです。
合コンなどで、初対面の異性に自分の印象を良くしたいと思うのは当たり前の心理です。

そんな時にもミスディレクションが使えます。
例えば、視線の送り方や声のトーンなどを意識して操るだけでも相手に与える印象は変わります。

そして、自分の思う自分を相手に印象付けるために、視覚効果や嗅覚を利用したミスディレクションが有効なのです。

場面③:同窓会の場面

久しぶりに同級生にあうことになる同窓会。
やはり昔のまま、あるいは昔以上に素敵に見せたいものです。

もし昔よりふっくらしてしまっていたら、錯覚を利用するミスディレクションを使って着痩せ効果を狙えます。
「着痩せ」は、視覚を操るミスディレクションのひとつです。

例えば、横ジマより縦ジマの方がスリムに見える、とかスキニ―タイプのパンツの方が脚が細く見えるなどは人間の視覚を利用したミスディレクションです。

場面④:ビジネスの場面

ビジネスの場でもミスディレクションが使われています。
例えば、マジックで使われるアクシデントミスディレクションは、アクシデントを起こして相手を「ハッ」とさせ、その隙にタネを仕掛けます。

見ている側は、アクシデントが何事もなく解決したことでホットしてそこに心の隙が生まれるのです。
ビジネスでもその「心の隙」を利用した販売促進が使われています。

ネットショッピングで、購入ボタンを押したとたんに関連商品やおすすめの商品が現れますが、これは「購入した」ことでホットしたり、逆にテンションが上がったりして生まれる心の隙に取り入っています。

また、マスコミなどで話題になったことにちなんだ関連グッズを売る便乗商法やあやかり商法は、正に消費者の消費行動や心理を理解したミスディレクションです。

場面⑤:詐欺

ミスディレクションで詐欺をする手口

思い込みを利用したミスディレクションは、詐欺に使われる手口です。
高齢者をターゲットにした振込み詐欺のひとつ「オレオレ詐欺」は「僕だよ」という男性の声を息子の声だと思ってしまう親の思い込みを利用した詐欺です。

また、弁護士とか警察とか役所とかの「権威」を信用してしまうのも思い込みを利用したミスディレクションと言えるでしょう。

場面⑥:恋愛の駆け引きの場面

ミスディレクションが使えるか使えないかで恋愛の駆け引きにも影響してきます。
ミスディレクションは、人間の心理や五感を最大限に利用します。

その点から言っても恋の駆け引きには武器になるものです。
そもそも「恋は盲目」という言葉があるくらいですから、誰かを好きになると見えていても見えない、つまりミスディレクションに掛かった状態になっています。

その上に相手の心理を利用してミスディレクションを仕掛ければ好き人はこちらの思うがままになる可能性もあります。

日常生活でミスディレクションを活用する方法

内緒でミスディレクションを活用する人

ミスディレクションが人の心理を誘導することができるテクニックであることは間違いありません。
では、ミスディレクションを毎日の暮らしの中で活用するためにはどのような方法があるのでしょうか。

今日から使えるミスディレクションの基本的な方法をいくつかご紹介しましょう。

  1. 視線を逸らす
  2. 同時に複数の行動をする
  3. 時間をずらす
  4. 驚かせる

方法①:視線を逸らす

ジッと相手の目を見つめてフッと視線を逸らしたり、少し離れた場所から視線を送り続け、相手が何かを感じてこちらを見た瞬間に視線を逸らしたりします。
この視線の操作だけで相手は様々なことを勝手に思い始めます。

「視線」はミスディレクションにとっては大切な役割をします。
視線で相手の心理を誘導するミスディレクションの基本です。

方法②:同時に複数の行動をする

相手の注意を逸らしたい時に使えるミスディレクションに、同時に複数の行動をすることが効果的です。
例えば、部屋に遊びに来た友達が、見られたくない机の引き出しを何気なく開けられそうになったとしましょう。

その時に「机の引き出しを開けてはダメ」と相手の行動を遮ると、かえってその言葉で不振に思い始め、やぶへびになってしまいます。
そんな時は、例えば机のそばのカーテンを勢いよく開けて「うゎ~キレイな空ねぇ」大きな声を出しながら窓を開けます。

机の引き出しを開けようとしていた相手は、その言動に気を取られて机の引き出しから手を離すでしょう。
その後は、相手の興味のある話題に気持ちを持っていけば、よほどでない限りまた机の引き出しに手を伸ばすことはないはずです。

何かをごまかしたい時にひとつの行動だけでは相手の意識を完全に引き離すことが難しく二つの行動を同時に、もしくは引き続いてすることで相手の意識を完全にミスディレクションすることができるのです。

方法③:時間をずらす

一番使いやすくて、一番効果の高いミスディレクションが「時間をずらす」ことです。
タイムミスディレクション(time Misdirection)と呼ばれるミスディレクションの種類のひとつです。

人の記憶は実に曖昧で、時間をかければどのようにでも書き換えることが可能です。
また、細かいことは忘れてしまうのが人の常です。

例えば、激しく怒っていたことも月日が経てばその原因は曖昧になってしまうものです。

方法④:驚かせる

ミスディレクションの方法に、驚かすことで気を引く方法があります。
この方法は日常の中でも使いやすいミスディレクションでしょう。

単純に、急に大きな音を立てることで相手の気を引くこともありますが、意外性で驚かすこともミスディレクションには効果的です。
例えば、誕生日のサプライズパーティーです。

サプライズの内容次第では、それまで進展のなかった二人の間が急接近することもあります。

使い方次第で生活を豊かにできるミスディレクション

ミスディレクションを使って豊かに暮らす人

ミスディレクションは人間の心理や五感を利用して、自分の思う方向に誘導するテクニックです。
マジックや推理小説などでは、その鮮やかさが際立ちますが、実は普段の暮らしの中でも使われているテクニックなのです。

ミスディレクションを使うためには相手の心理状態を理解する必要があります。
そのためには、相手を見つめ理解する必要があるでしょう。

ミスディレクションの使い手は実は人間を理解している人だともいえるでしょう。
ミスディレクションは使い方次第で、人間関係を豊かにするテクニックだとも言えるでしょう。

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ライター
noel編集部

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