おはしょりとは?斜めになったおはしょりの直し方&上手に着付けるコツ
おはしょりは着物の下に出ている折り返し部分のことで、着物の長さを調整する役割があります。 おはしょりの理想の長さは5~6cmとされていますが、長くなったり、斜めになったりします。 この記事ではおはしょりの由来やおはしょりの悩み別対処法、おはしょりなしの着付け方などをご紹介しています。 おはしょりを綺麗に整えたい方は是非ご参考下さい。
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「おはしょり」とは?
おはしょりとは着物を着た時に、帯の下に出ている折り返し部分のことです。
着物の長さを調整する役割のほか、襟元のゆるみをなくす、胴のシワを隠す、腰の形を整えるといった役割を持っています。
おはしょりの長さは5~6cm程が良いとされています。
着物屋で仕立ててもらった着物は、おはしょりの長さも程よくて大丈夫ですが、ネット通販で購入した着物はおはしょりの長さが短長になることが多いです。
着物をネット通販で購入するときは、自分の身長に近いサイズのものを購入するようにしましょう。
おはしょりの歴史・由来
江戸時代の初期頃まで、着物は対丈で着られていたため、おはしょりはありませんでした。
江戸時代の中期頃から着物の形や帯でおしゃれをするため、着物の丈を長くする女性が増え始めました。
江戸時代後期になると着物を長くするのが一般的で室内では裾を引き、屋外では着物を腰のあたりでたくし上げて歩いていました。
明治時代の明治維新後、女性の外出機会が増えたのをきっかけに、帯を結ぶ前に着物の長さを調整するおはしょりが取り入れられました。
おはしょりの名の由来は「端を折る」から来ています。
端を折るは着物の裾を折り帯に挟むことを差していました。
端を折るの音変化から「おはしょり」と呼ぶことになったと言われています。
おはしょりの悩み別にみる対処法
おはしょりの理想の長さは5~6cmです。
しかし市販で購入した着物のおはしょりは長すぎたり、短すぎたりしてしまいます。
この章ではおはしょりの悩み別に対処法をご紹介していきます。
- 斜めになる
- 長すぎる
- 足りない
- ゴワゴワする
- シワができる
悩み①:斜めになる
着物は長方形の布から出来ているため、おはしょりは斜めになりやすいです。
おはしょりが斜めになるのを防ぐには腰紐を斜めに結ぶと良いです。
腰紐の左側を高く、右側を低くするとおはしょりが斜めにならずに済みます。
悩み②:長すぎる
おはしょりの長さが長すぎる場合は腰紐を少し高めの位置で固定して調整しましょう。
おはしょりが長すぎると不格好になります。
おはしょりが長すぎる場合の調整方法をご紹介します。
まず少し高めの位置で腰紐を結びます。
おはしょりの形を整えたあと胸下の部分を紐で巻きます。
紐を巻き終えたら、衽線を合わせます。
この時にまだおはしょりの長さが長すぎる場合は、上前を胸下の紐のところまで持ち上げると良いです。
最後に伊達締めをして帯締めをすれば長すぎたおはしょりも綺麗に整えることができます。
悩み③:足りない
おはしょりの長さが足りない場合は、腰紐の位置を低くしましょう。
骨盤あたりまで下げても大丈夫です。
腰紐の位置を低くするのに比例しておはしょりの長さは長くなります。
また骨盤で腰紐を巻くと痛みが少なく、途中で気持ち悪くなることもほとんどありません。
ぜひお試しください。
悩み④:ゴワゴワする
おはしょりがゴワゴワしていると分厚くなり太って見えてしまいます。
ゴワゴワしたおはしょりを整える方法をご紹介します。
まず、裾の長さを床スレスレのところに合わせます。
そして腰紐を結びましょう。
次におはしょりを作ります。
みやつ口のところから手を入れ、下にトントンとすると形が整います。
トントンしておはしょりを作ったら、左手で右衿を掴み、そのまま延長線上をたどります。
肋骨あたりで布を掴み、余った布のところに右手を入れ布を持ち上げましょう。
そして右手を右斜め下にスライドさせて、織り込みます。
織り込んだ布を三角の形にすると綺麗です。
右衿の角度を決めて、肋骨のあたりで布を押さえます。
左衿の角度を決めながら、左側の布を上に被せていきます。
みぞおちの辺りに紐の真ん中を当て、後ろに引っ張ってクロスさせて、前で紐を結べば綺麗に整ったおはしょりの完成です。
悩み⑤:シワができる
おはしょりにシワが出来てしまう方は多いです。
まずは目立って気になってしまう帯下のシワの対処法からご紹介します。
帯下のシワを対処するのは意外と簡単です。
帯の左下に両手を入れ、右手だけを横にスライドさせます。
これだけで帯下のシワを対処することができます。
次に両サイドのシワの対処法をご紹介します。
両サイドのシワはおはしょりの中が原因で出来ていることが多いです。
おはしょりの中を綺麗するイメージで両サイドのシワに対処していきましょう。
おはしょりの右側にある縦の縫い目を見つけ、親指を前にして挟みます。
ここで一度前のに倒し、背中のシワを脇の方に持ってきます。
挟んでいた親指以外の指をグーっと中に入れます。
伊達締めの下の布を後ろに引っ張ると両サイドや背中側にあったシワを綺麗にすることができます。
斜めになったおはしょりの直し方
おはしょりは斜めになりやすいです。
斜めになったおはしょりの直し方をご紹介します。
- 伊達締めで固定
- 衿側の布にゆとりを持たせて調整
- タオルなどで補正
①:伊達締めで固定
着付けに慣れている方はおはしょりを作ったあと伊達締めで固定しています。
見栄えが良く、着崩れもしにくいためおすすめです。
やり方は、まず、めになってしまったおはしょりの中に右手を入れ、下線を整えます。
おはしょりの中から右手を出し、次におはしょりの下線が真っ直ぐになるように左手で左側の部分を上げます。
最後に伊達締めで固定をしたら、完成です。
②:衿側の布にゆとりを持たせて調整
右側のおはしょりが上がって斜めになる場合は衿側の布にゆとりを持たせて、そのゆとりでおはしょりの長さや角度を調整するようにしましょう。
裾側を上げると、衿側にゆとりができます。
裾側を1cm上げれば衿側に1cmのゆとりができます。
ゆとりを使っておはしょりを真っ直ぐ整えたあと、腰紐で固定すれば綺麗なおはしょりが完成します。
③:タオルなどで補正
もこもこで斜めになっているおはしょりの場合布は腰回りや胸元にタオルを入れて補正しましょう。
ウエストの細い方ややせ型の方が補正をしないまま着物を着ると、着物と体の比率が合わず布が余るため、調整を行うおはしょりの部分がもこもこになってしまいます。
しっかりと補正を行ってから着付けをするとおはしょりを綺麗に作ることができます。
おはしょりなしの着付け方
着物はおはしょりなしで、着ることも可能です。
おはしょりなしの着付け方をご紹介します。
- 着物を羽織り、裾を合わせる
- 右の腰骨の上を押さえ腰紐を当てる
- 腰紐を結ぶ
- 裾すぼまりを強調
- 衿元を整えて紐で固定
- 背中のシワを取る
- 裾の角度を調整する
- 伊達締めで固定
①:着物を羽織り、裾を合わせる
まずは着物を羽織ります。
裾の先が床についていれば、おはしょりなしで着物を着ることが可能です。
衿止めをつけ、裾を合わせます。
②:右の腰骨の上を押さえ腰紐を当てる
右手での右の腰骨より上の箇所を押さえ、左手で腰の真ん中を取ります。
おはしょりなしで着付けをする場合は、腰紐をおへそよりも高い位置に当てるようにしましょう。
③:腰紐を結ぶ
おへそよりも高い位置に当てた腰紐がずれないように気をつけながら、腰紐を後ろに回します。
後ろに回した腰紐を交差させて腰紐を締めます。
指の先が入る位の余裕を持たせることを意識し、キツく締めすぎないように注意しましょう。
キツく締めすぎると途中で気分が悪くなってしまうことがあります。
後ろで交差した腰紐を前に持ってきて蝶々結びをします。
蝶々結びをしたら輪の部分を紐に引っ掛けます。
④:裾すぼまりを強調
上前が動かないように右手で押さえ、左手で下前を後ろの方に引っ張り、裾すぼまりを強調させましょう。
後ろ側が下に行くに連れ、すぼまっていくように調整することが大切です。
⑤:衿元を整えて紐で固定
両方の衿を掴み、白襟の出具合を調整します。
衿元を整えたら、紐で固定します。
固定する場所はみぞおちの辺りが良いです。
⑥:背中のシワを取る
紐で固定すると、背中にシワができます。
紐で固定したあとは、背中のシワを取るようにしましょう。
やり方は簡単です。
背中のシワを脇の方に寄せます。
脇にある縫い目を使ってタックを取るようにすると背中のシワがなくなり、すっきりとします。
⑦:裾の角度を調整する
おはしょりなしでの着付けでは、裾の角度が斜めになってしまうことが多いです。
必ず裾の角度を確認し、斜めになっていたら直すようにしましょう。
直し方は簡単です。
腰紐とみぞおちの辺りの紐の間に少しだけ余っている布を使います。
左側の腰紐の少し上の辺りで、余った布を引き上げるようにすると、裾の角度を真っ直ぐにすることができます。
⑧:伊達締めで固定
腰紐の上を伊達締めで固定しましょう。
腰紐とみぞおちの紐の間の余った布を左側で持ち上げてから、伊達締めをします。
伊達締めをする高さは腰紐がぎりぎり隠れる位が良いです。
伊達締めをすると、おはしょりなしでも着崩れせずに済みます。
あとは通常通り、帯を巻けば完成です。
下に「おはしょりなしでの着付け方法」の動画を載せています。
ぜひご覧ください。
おはしょりを綺麗に整えよう
おはしょりは明治維新後から取り入れられ、おはしょりという名は「端を折る」から来ています。
おはしょりの理想の長さは5~6cmです。
しかしおはしょりは長くなったり斜めになったりすることが多いです。
これらのおはしょりの対処方はそれぞれ異なりますが、どの対処法も難しくないので、おはしょりがおかしい場合は綺麗に直すようにしましょう。
また着物の長さが床につくギリギリの長さの場合は、おはしょりなしで着たほうが良いです。
おはしょりが短い方が不格好です。
着物を綺麗に着ると美しいシルエットになります。
あまり気にかけないおはしょりですが、着物を綺麗に着るためにも、長かったり、斜めになったりしている場合は、きちんと整えるようにしましょう。
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